洋楽ビギナーの方も、洋楽マニアの方も、シェルビーの部屋へようこそ!
今回は、ヨーロッパ最大の音楽の祭典、「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」について語ってまいります。ヨーロッパの音楽もユーロビジョンも、日本では話題になることはまだ少ないと思います。でも、ヨーロッパの音楽は多様で、蓋を開けてみるとたくさんの魅力的なアーティストに出会えますよ!
ユーロビジョンのことを知って、ヨーロッパ発の洋楽の魅力に触れていきましょう♪まずは、ユーロビジョンについて簡単にご説明します。
- ユーロビジョン・ソング・コンテストとは?
- 歴代優勝者を抜粋してご紹介!
- Refrain | Lys Assia
- Poupée de cire, poupée de son | France Gall
- Boom Bang-a-Bang | Lulu
- Waterloo | ABBA
- Ne Partez Pas Sans Moi | Céline Dion
- Love Shine A Light | Katrina and The Waves
- Hard Rock Hallelujah | Lordi
- Euphoria/ Tattoo | Loreen
- Rise Like a Phoenix | Conchita Wurst
- Zitti E Buoni | Måneskin
- The Code | Nemo
- ユーロビジョン・ソング・コンテストにこれからも注目!
ユーロビジョン・ソング・コンテストとは?

欧州放送連合が主催で毎年5月に行われる、音楽のイベントです。欧州放送連合に加盟している放送局によって各国に生中継されます。正式名称は「ユーロビジョン・ソング・コンテスト」ですが、「ユーロビジョン」と呼ばれることが多いです。ヨーロッパ以外の国も少しずつ参加するようになってきています。
出場する国の放送局(大抵は公共放送)は、各々の代表を選び、一国につき一曲のみエントリーします。代表の選び方は自由。国内で予選的な大会を行う国もあるそうです。
本選では、各国の代表は生放送で1曲を披露。それを聴いた上で、各国の放送局などが投票を行い、優勝者(優勝国)が決まります。つまり、その場で歌ったものがそのまま審査対象となる。ここまで大きいポップミュージックの大会でこうしたコンテストの形をとるのは、ユニークなのではないでしょうか。緊張感や臨場感まで楽しめそうです。
優勝国は翌年のユーロビジョンの開催国となり、その年の大会を主催することになっています。優勝したミュージシャンは、大会においてはトロフィーが授与されるのみですが、世界規模で話題になったり、知名度とファンの数を増やしたりしています。
私もユーロビジョンについてはメディアを通じた情報でしか知りませんが、現地では一大イベントのようですね。ユーロビジョンの動画を見ていても、会場の盛り上がりがよくわかります。スポーツ観戦のように国を応援しているのもユニークです。なんだか楽しそう!
歴代優勝者を抜粋してご紹介!

それでは、歴代ユーロビジョン優勝者を抜粋してご紹介します。
たくさんの優勝者の中から、日本でも比較的有名だと思われる歌・アーティストを中心に選びました。名前は知らなくても、聞いてみたら「知ってる!」となるものもあるかもしれませんよ♪
※動画はできる限りユーロビジョンで披露したステージのものを貼っていますが、公式チャンネルが出していない場合は別の動画を使わせてもらいました。
Refrain | Lys Assia
『ルフラン』リス・アシア
国名:スイス
優勝した年:1956年
記念すべき第1回大会の優勝曲です。
映像は白黒で、曲の雰囲気もクラシカル。大会の歴史を感じますね。歌手の隣にはコーラスが、そしてこの動画だとほとんど写っていませんが、さらに下手側ではオーケストラが生演奏しています。
スイスの公用語は、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語の4つ。この歌はフランス語の歌なので、読み方を『ルフラン』としました。歌の冒頭でも♪ルッファ〜ンと言っていますね!
(添付した動画は30秒の動画ですが、ユーロビジョンの公式チャンネルが出しているものなので、使わせていただきました。)
Poupée de cire, poupée de son | France Gall
『夢見るシャンソン人形』フランス・ギャル
国名:ルクセンブルク
優勝した年:1965年
サントリーの烏龍茶や、三菱のminicaのCMで使われていた曲です。印象に残りやすい曲だと思うので、「聞いたことある!」となる方が多いのではないでしょうか。私もCMで聞いた記憶が確かにあるのですが、曲はしっかり覚えている一方、内容はまったく覚えていませんでした・・・。
ルクセンブルクの公用語は、ドイツ語、フランス語、ルクセンブルク語の3つなのだそうです。『夢見るシャンソン人形』もフランス語で歌われています。
フランス・ギャルは名前の通りフランス出身でフランスの歌手ですが、この大会にはルクセンブルク代表で出場しました。ユーロビジョンでは度々こういうことも起きています。この辺りはヨーロッパらしいというか、日本人にはあまりない感覚ですよね。
Boom Bang-a-Bang | Lulu
『恋のブンバガバン』ルル
国名:英国
優勝した年:1969年
ブンバボンみたいな曲名につられて聴いてみたら、ぜんぜん雰囲気違いました(笑)かわいらしいワルツの歌で、英語で歌われています。ルルはスコットランド出身の英国の歌手です。
ここでは英国代表の『恋のブンバガバン』を挙げましたが、この年は4カ国が同点で優勝しています。英国の他には、オランダ、スペイン、フランス。当時は同点になった場合の規定がなかったためこの結果になりましたが、その後規定が定められたので、複数の国が優勝したのはユーロビジョン史上この年だけです。
Waterloo | ABBA
『恋のウォータールー』アバ
国名:スウェーデン
優勝した年:1974年
ユーロヴィジョンの歴史を語る上でこのバンドは外せません。『恋のウォータールー』は、ユーロヴィジョン史上最も有名な優勝曲と、そしてアバは、優勝後最も成功したアーティストと言われています。
アバはスウェーデン出身のグループ。女性2人がボーカルで、男性2人が曲作りや演奏をしています。スウェーデン語バージョンの歌も聞くことはできますが、英語で歌っているのが一般的です。ユーロビジョンでも『恋のウォータールー』は英語で歌われていました。
2021年にもアルバム『ヴォヤージ』をリリースするなど、最近も4人での音楽活動がちょこちょこ行われています。メンバーも皆さんお元気そう。デビューから50年以上経っているのに、すごい!
2024年のユーロビジョンでは、アバの優勝から50周年を記念するスペシャルステージが行われ、『ウォータールー』が披露されました。アバの4人は、”アバ”ターで出演しています。
Ne Partez Pas Sans Moi | Céline Dion
『私をおいて旅立たないで(英:Don’t Leave Without Me)』 | セリーヌ・ディオン
国名:スイス
優勝した年:1988年
こちらも世界的アーティスト。セリーヌ・ディオンです。彼女はカナダのケベック州出身ですが、スイス代表として出場しました。
一方、歌はフランス語です。ケベック州はカナダ・フランス語が公用語で、彼女はそれ以外の言語は話せなかったそうです。先ほど紹介した通り、スイスも公用語の一つをフランス語としていますね。(にしても、どういう流れでカナダ出身の彼女がスイス代表になるのか・・・気になる。)
彼女の代表曲であるMy Heart Will Go On は英語ですが、英語は大人になってから勉強したのだとか!英語圏の出身でないトップアーティストの中には、意外とこういう人も多いですよね。がんばれば私もペラペラになれるかも!?
Love Shine A Light | Katrina and The Waves
『ラヴ・シャイン・ア・ライト』カトリーナ・アンド・ザ・ウェイヴス
国名:英国
優勝した年:1997年
カトリーナ・アンド・ザ・ウェイヴスは英国のバンド。ユーロビジョンで英国に優勝をもたらしたのは1997年ですが、アーティストとしては80年代から既に有名でした。彼女たちの代表曲の一つであるWalking on Sunshine は、1983年にリリースされています。
そしてもちろん、Love Shine a Light も彼女たちの代表曲の一つとなりました。愛と優しさが詰まったこの曲は、今でも世界で広く愛されています。
2020年、コロナウイルス感染拡大の影響で大会が中止になった際には、出場予定だった各国の代表者たちがこの歌を歌う動画が作られました。地球規模での困難に直面した当時の世界では、この歌の持つ意味や力は、きっと大きかったはずです。いや、地球に住む人間として、今もこれからも、世界の平和と平穏を願って、大切に歌い継いでいきたい歌だと私は思いました。というわけで、ぜひこちらも聴いてみてください。
(また、これとは別に、開催国オランダのロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団メンバーのバージョンもありました!演奏と共に、出場国の名所が順々に光で照らされていく映像も流れ、ステキでしたよ。)
Hard Rock Hallelujah | Lordi
『ハード・ロック・ハレルヤ』ローディ
国名:フィンランド
優勝した年:2006年
これ、すごいですよ。圧巻のステージ。ぜひ見てください。私、ハード・ロックやヘビー・メタルをあまり好んで聴くことはないのですが、これは感動しました。完全にハートを掴まれています。
北欧はヘビーメタルが盛んな地域だというイメージがありますが、「北欧メタル」なんていう言葉もあるそうです。そんなヘビーメタル大国の一つであるフィンランドを代表し、出場したローディ。彼らの優勝は、北欧メタルが北欧を越えて愛され評価されていることを示しているように感じます。
せっかく興味が湧いたので、北欧メタル、いろいろ聴いてみようと思います。
Euphoria/ Tattoo | Loreen
『ユーフォリア』『タトゥー』ロリーン
国名:スウェーデン
優勝した年:2012年(Euphoria), 2023年(Tattoo)
ロリーンはスウェーデンの歌手。ユーロビジョンでは2012年と2023年の二度、スウェーデンに優勝をもたらしています。歌唱力に圧倒されますが、1曲の中でもパートによって歌い方を分けていて、表現力にも感動させられるシンガーですね。
ロリーンもスウェーデン出身でありスウェーデンの歌手ですが、優勝した2曲とも英語で歌っています。また、他にも彼女が歌っている曲は英語のものが多いようです。
ユーロビジョン、回を重ねるごとに、英語で歌われる率が高くなってきているかもしれません。少なくとも優勝者を見る限り、英語圏以外の国の代表でも、英語で歌っていることがかなり多いようです。
Rise Like a Phoenix | Conchita Wurst
『ライズ・ライク・ア・フェニックス』コンチータ・ヴルスト
国名:オーストリア
優勝した年:2014年
ユーロビジョン2014年の優勝者は、コンチータ・ヴルスト。歌手でありドラァグクイーンでもあります。美しい出立とお髭が印象的。
と、外見のことが先行してしまいがちですが、言うまでもなく、圧倒的歌唱力をもつ実力者です。こんなに力強く声量たっぷりに歌っているのに、表情は穏やか。後半の、これでもかってほどの盛り上がりにも、圧倒されまくりです。
ちなみに、2024年のユーロビジョンでも、アバの優勝から50周年を記念するスペシャルステージに出演。『ウォータールー』を歌って会場を盛り上げていました。
各方面で活躍している有名な方なので、見たことがある方も多いと思います。2015年には、日本のテレビ番組『ミュージック・ステーション』にも出演しています。
Zitti E Buoni | Måneskin
『ツィッティ・エ・ブオーニ』マネスキン
国名:イタリア
優勝した年:2021年
イタリアのロックバンド、マネスキンです。近年のユーロビジョンと言えば、彼らの活躍を連想する人も多いのでは?
マネスキンはこの大会で優勝し、一気に世界的人気のあるバンドになりました。私もマネスキンのパフォーマンスを初めて見た時は衝撃を受けました・・・。独特の奇抜な世界観がクセになりますよね。
『ツィッティ・エ・ブオーニ』をはじめ、イタリア語で歌っている人気曲もたくさんありますが、最近はやはり英語で歌っていることが多いです。私たちも、マネスキンのいろいろな作品を楽しめそうですね。
ちなみに、『ツィッティ・エ・ブオーニ』とは「黙ってイイ子にしてな」という意味です(ソニーミュージックオフィシャルサイトに倣って)。
The Code | Nemo
『ザ・コード』ニモ
国名:スイス
優勝した年:2024年
スイス代表のニモ。日本でも話題になり、ノンバイナリーを公言している点が特に注目されている印象を受けましたが、ミュージシャンとしての才能もとにかくすごいのです。
音楽スタイルはクラシック、ディスコ、テクノなど多岐にわたり、シンガーだけでなくラッパーとしての肩書きも持ち、さらにピアノ、ヴァイオリン、ドラムなどの楽器も演奏する、多才なミュージシャン。それがニモです。
ユーロビジョンで披露された『ザ・コード』も、見どころ満載でした。オペラに、ラップに、ポップに、いろいろな音楽が融合しているけど、一つの曲としてまとまっていて、しかもそれをステージ上で一人で表現しきる。こんなこと可能なの?と思えてきます。序盤にはモーツァルト作曲『夜の女王のアリア』のフレーズも取り入れられていますね♪
さらに、歌詞の内容も、アイデンティティを模索し、自分自身を見つけ出して喜びを表現するまでの、ダイナミックなもの。まるで、場面がコロコロと変わる、3分半のオペラを見ているようです。このスケールの大きさと充実感、まだの方はぜひ味わってみてください。
ユーロビジョン・ソング・コンテストにこれからも注目!

ユーロビジョンの概要や歴代優勝者をご紹介しました。いかがでしたか?
今回はほんの一部の優勝者しか挙げられませんでしたが、ヨーロッパ最大の音楽の祭典ですから、他の優勝者も、さらには他の出場者も、見応えのあるステージばかりです。興味がある方はぜひ見てみてください♪
そしてこれから、毎年5月はユーロビジョンに注目していきたいですね!
それでは、最後まで読んでくださり、ありがとうございました:)
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